公衆衛生学

6 感染症予防

病原体となる微生物細菌ウイルスなど)が宿主となる生物に侵入・定着し、増殖することを感染といい、感染のために宿主が何らかの症状を呈する状態を感染症といいます。感染症の定義、届出、入院勧告などについて感染症法に規定されている。

1 感染症の種類

 人から人へ直接または間接的に伝播する病気の場合には、伝染病ともいい、感染病の病原体には、ウイルス、細菌、クラミジア、リケッチア、スピロヘータ、害虫、真菌(かび)などのほか、回虫症などの寄生虫やプリオン(異常タンパク質)によるものもあり、感染症の例は以下のとおりです。

ウイルス インフルエンザ麻疹(はしか)天然痘エイズ、日本脳炎など。
細菌 赤痢コレラ腸チフス、腸管出血性大腸菌感染症、ペスト、結核など。
クラミジア オウム病、性器クラミジア感染症、トラコーマなど。
リケッチア 発疹チフスツツガムシ病、発疹熱など。
スピロヘータ 梅毒、ワイル病など。
害虫 マラリアクリプトスポリジウム症、アメーバ赤痢など。

2 感染症の発生

 感染症が発生し、まん延するのは、次の3つの条件がそろったときです。

 ①感染源(感染のみなもとがある)

  病原体を保有する病気の人や動物がいる。病原体が存在する土壌も感染源となる。

 ②感染経路(感染する経路がある)

  病原体と感受性をもった人が接触する機会がある。

 ③感受性(人の側に、受け入れる要素がある)

  人に抵抗力免疫力)がない、あっても人口密度が大きい、生活環境が不潔など、抵抗力が弱められる環境や状況がある。

●主な感染経路には、飛沫、垂直、水系、媒介動物の4つがある。

飛沫感染 くしゃみから感染する。
垂直感染 母体を通して、からへ感染する。
水系感染 から感染する。
媒介動物感染 ネズミノミダニなどから感染する。

3 感染症の予防対策

 まずは自分で、帰宅したらすぐうがいをする。いつも清潔にする。予防接種を受ける。

① 感染源対策

 外国からの侵入に対しては、空港や港で検疫を行っています。国内では、①届出、②入院治療・就業規制・消毒、③保菌者検索、④動物感染源の撲滅などの対策が行われています。

② 感染経路対策

 病原体で汚れたものを消毒する。マスクをかけたりうがいをしたり、すぐ手をよく洗う、水(井戸水、上水道、下水道)を厳重に消毒するなどして対策します。患者の出た家では医者や保健所の指示に従って消毒を行う、感染源動物を撲滅するなどの対策がとられています。

4 予防接種

 予防接種とは、人の免疫のしくみを利用し、病気に対する抵抗力(免疫)を高める方法です。疾病の第一次予防としての予防接種の制度は、国民の健康を感染症から守るため、1948(昭和23)年に制定された予防接種法により定められており、一定の年齢において接種を受けることとされているのが定期予防接種市町村が実施主体)です。

① A類疾患(接種を受ける努力義務がある)

 ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ(急性灰白髄炎)、麻しん、風しん、日本脳炎、Hib(ヒブ)感染源、小児の肺炎球菌感染症、ヒトパピローマウイルス感染症、結核、水痘、B型肝炎、ロタウイルス。

② B類疾患(接種努力義務はない)

 インフルエンザ、高齢者の肺炎球菌感染症